第4.4 仮説・実践・評価・再考

4 仮説・実践・評価・再考

立ち止まって考えてみる

 

仮説・実践・評価・再考 (4.4.1)

 

これまで述べたような体験を通じて私が会得した「法律学の勉強の方法」は、ある意味、私の「必殺技」でした。

 

では、このような「必殺技」や「秘密兵器」は、どのように開発したらいいのでしょうか?

 

基本的には、「自分を大きくする戦略」の実践(つまり戦闘の準備)に、何か行き詰まりや問題点を感じたり、あるいは、勝負の結果が思うようにならない場合に、まず「立ち止まって考える」ということが大切です。つまり「うまく行かないのは、なぜか?」を考えることです。

 

そして次に、それを「打開」するための仮説を立てます。つまり、うまく行っていない原因に見当を付け、それを回避したり乗り越えるための案を立てます。

 

そして一応の「仮説」つまり、こうすればうまく行くのではないかという具体案が出来上がったら、それを実践に移してみます。

 

その結果は「結構イイ感じ」になることもあれば、「全然ダメダメ」の場合もあるでしょう。とにかくその結果を受け止め、評価します。

 

そして最後に、その結果を踏まえ、「結構イイ感じ」だったら、そのまま続けますし、もし「全然ダメダメ」ならば、なぜうまくいかなかったのかを考え、仮説の修正を図ります。そして、再度、実践。

 

これを繰り返しながら、よい方法を探っていくのです。

 

これが「必殺技」や「秘密兵器」を開発するための、王道ともいうべきプロセスです。

 

では、どんな具合になるのか具体例を見てみましょうか。ただ、あまり司法試験の例ばかりだと、書いてる私も、読んでいるみなさんも、だんだん気持ちが滅入ってくるので、こんどは楽しく「合コン」の話にしましょう。

 

合コン相手獲得法の開発 (4.4.2)

 

大学に入った後、私が、学内の恋愛環境のあまりの悪さにショックを受け、日々「ナンパ」にいそしんでいた、ということは、以前に書いたと思います。そして、自分のあまりのダメダメぶりにショックを受けるも、恋愛マスターのMくんのことを思い出し、Mくんの教えを仰ぎ、「女の子との楽しい会話の真髄」に開眼したのでした。

 

しかし、そうは言っても、事態が改善されたわけではありませんでした。

 

何せ、女の子と知り合う機会がないのです。せっかく「女の子との楽しい会話の真髄」に開眼しても、それでは、その必殺技を使う機会がありません。

 

 ――とにかく、女の子と知り合う機会を作らなければ……。

 

こうして思い至ったのが「合コン」でした。

 

仮に「ナンパ」を「一本釣り」にたとえるならば、「合コン」は「トロール漁業」です。一気に網で捕獲する方が、大量の女の子と知り合う機会ができるはずです。

 

一本釣りより、トロール漁業

 

こうして「ナンパ」から「合コン」へと方針変更した私は、最初のうちは、自分の昔の知り合いのつてをたどり、合コンをセッティングしたりしていたのでした。

 

しかし、そんなことをやっていても、いずれネタは尽きてしまいます。それに、出来ることならば、自分と何らかのしがらみのあるような「合コン」ではなく、まったく新しい新鮮な出会いの機会としての「合コン」がやりたい。そう考えていたのでした。

 

そうしていたところ、ある時、私は『ぴあ』という情報誌(※2011年7月に休刊)を手にした瞬間、ハッと雷に打たれたような啓示を受けたのでした。
ちょうどそのころ『ぴあ』は、10月から11月の学園祭シーズンになると、東京近郊の学園祭の特集を組み、その日程などを一覧表にしていました。それを見て、私は「これだ!」と思ったのでした。

 

――学園祭に行って、合コンの相手をゲットして来よう。

 

そして、早速、計画を立てました。

 

最初に、日程表を見ながら、どこへ行くかを考えます。

 

私の目的は「学園祭を楽しむ」ことではなく、「合コンの相手を見付ける」ことですから、その目的に沿う学園祭をピックアップします。

 

第1に、当然のことながら、共学の大学は除外します。女子大または女子短大に絞ります。

 

第2に、あまり人が来ないような学園祭を選びます。合コンの話をするのに、先方があまりに忙しそうだと、落ち着いた話ができないだろうと予想したからです。それで、有名な大学と学園祭の日程が重なり「裏番組」になっていまったような学校を狙います。こうして、毎週の週末ごとにいくつかの学園祭をピックアップします。

 

第3に、その学校同士の位置関係などを考え、1日に何校回れるかを考えながら、学校と回る順序を決めます。

 

行き先が決まったら、次に、武器の準備です。

 

単に、学園祭に乗り込んで、そこらにいる女の子に声を掛けても、それでは「ナンパ」と同じで、それほど成功は見込まれません。そこで、先方の学校の何らかのサークルと合コンすることにします。しかし、そうなると、こちらもサークルである必要があります。もちろん、私は、司法試験研究室に在籍していました。しかし、その研究室の名前を出すわけにもいきません。そんなことをしたら、先輩に殺されるか、除名されてしまいます。そこで「にわかサークル」を作ることにしました。名前は「アウトローズ・スポーツクラブ」です。コピー機で名刺を作り、肩書きは、ちょっとウケを狙って「宴会企画係」とします。「そんな係にされちゃいました。だから、合コンの相手を探しています」という言い訳にもなります。そして、合コンの相手が心配しないように、名刺の裏に説明文を添えます。「私たちは、××大学の司法試験研究室に在籍している学生が任意に結成したスポーツサークルです」などという具合です。勉強している真面目な学生であることをそこはかとなくアピールして、相手を安心させようという作戦です。不純なやり方ですが、背に腹は代えられません。

 

ここまで出来たら、事前準備はOK。あとは週末毎に、時間のある友人を誘っては、計画通りに、地道に学園祭をまわるだけです。

 

では、その結果は、どうだったでしょうか?

 

まあ、大成功というべきでしょう。

 

予想したとおり、裏番組の学園祭に行くと、まあ、悲しいほど閑散としたものでした。父兄らしき人たちの姿がチラホラという感じです。

 

私たちは、受付を済ませ、パンフレットをもらいます。そして、パラパラと頁をめくり、中でも一番人気のなさそうなサークルの展示を選び、そこに向かいます。当時、テニスサークルなどが流行でしたが、こういうところは避けます。他の大学のテニスサークルとの交流などがある可能性があるからです。どういうところに向かうかというと、例えば「心理学研究会」とか「古美術研究会」などです。

 

こういうところが狙い目

 

そういうサークルが展示している教室に行くと、これがまた悲惨なほど地味なのです。もちろん、観覧している客などは一人もいません。そのサークルの人が1人か2人ほど、退屈そうに立っていたりするだけです。そこで、声を掛けます。出来るだけ丁寧に、行儀よく。

 

「すみません。僕たち、こういう者なんですが部長さんいらっしゃいますか?」

 

 こうして名刺を差し出すと、大概その女の子は

 

「少々お待ちください」

 

と言って、奥に引っ込み「部長さん」を連れてきます。多くの場合、ちょっと小太りで、姐さんといった感じの、いかにも女の子たちの間で人気がありそうなタイプの女性です。

 

その人に向かって、自分たちはこういう者で、合コンの相手を探しています。よかったら僕たちと合コンしてもらえませんか、と丁寧に話します。

 

こういうふうに正面切って話すと、部長さんは、大概の場合「ちょっと待っていてくださいね」などと言って奥に引っ込み、他の部員たちと相談します。そして、再び出てきたときには「いいですよ」とOKしてくれます。それがほとんどでした。

 

こうして私は、この作戦で、毎週末に3〜4件の合コンの話をまとめ、11月の後半から12月には合コンをしまくっていたのでした。

 

失敗と修正を繰り返し…… (4.4.3)

 

こんなふうに書くと、「ホンマかいな」と訝しく思う人がいるかもしれませんが、この話は正真正銘の実話です。

 

実際、私は、この「必殺技」を開発してからは、合コンの相手にはまったく困らなくなったのですから。

 

ところで、私は、この「合コン相手獲得法」を大学の授業のときに、よく学生たちに話してきました。

 

すると、何人かの学生たちは、「よしッ!」と思い立ってこの方法を試してみたようです。ところが、その後チラホラと風の噂に聞いたところによれば、どうも彼らはうまくいかず、「ヘチマに騙された」などとほざいていたようでした。

 

さあ、実際、彼らの何が悪かったのか。私には、判りません。

 

ただ、言えることは、

 

うまくいかなかったのであれば、うまくいかなかった理由があるはずであり、
それは私には判らないにしても、彼らにはとってはよく考えれば判るはずだ

 

ということです。

 

私が、こんな方法を使って合コンの相手を探していたのは、もう30年も昔のことです。いまとは状況も、女子学生たちの気風も違っているかもしれません。30年前の方法が、そのままうまくいくとは限りません。しかし、うまくいかないとも限りません。

 

重要なことは、うまくいかないからと言ってすぐに諦めてしまうのではなく、何が原因でうまくいかないのだろうかと「再考」し、それを回避したり乗り越えたりするような「仮説」を再度立ててみて「実践」すること。そして、それでもうまくいかなければ、さらに考えて……と、何度でも修正を加えながら試してみることなのです。

 

実際、私が使っていたこの「合コン相手獲得法」も、実は、最初からこのように完成されていたわけではありませんでした。このスタイルを確立し、うまく機能するようになるまでには、もちろん失敗もあったのです。

 

例えば、最初のころは「人気のなさそうなサークルの展示」を選択するにも、失敗がありました。選ぶサークルは「若干チカラの抜けた感じのサークル」がよく、「人気がなくともチカラの入ったサークル」はダメなのです。例えば、人形劇のサークルなどは、それ自体に対してかなり打ち込む程度が強いためか、合コンの話を振ってもまず乗ってきませんでした。そこで、失敗の原因を探り、再考し、どういうサークルを選べばよいかを修正を加えることで、断られないようになってきたのでした。

 

こういうところは上手くいかない

 

(教訓1) チカラの入ったサークルは避ける

 

 

それから「声を掛けた女の子に対してどう切り出すか」という点についても、失敗と修正がありました。

 

実は、最初は、声をかけた女の子に対して「合コンしませんか」と誘っていたのです。

 

しかし、この方法では、まったくと言ってよいほどうまくいかなかったのでした。どういう展開になるかというと、その女の子は、最初、乗り気な感じなのですが、
「ちょっと待っててくださいね。仲間に訊いてきます」と言って奥に入って行った後、再度出てきたときには「ごめんなさい。みんな、行かないって言ってます」と言うのです。

 

つまり、仮説を立て、実践をしたのだけれど、うまくいかないという評価です。

 

そこで、再考します。どうしてこういう結果になってしまうのだろうか、と。
そうして私が思い至った推測は、こうでした。

 

その女の子は「ちょっと待っていてくださいね」と話を持ち帰った後、
みんなと話した際に、部長が反対したために
「じゃあ、やめよう」ということになっているのではないか?

 

一般に、女の子たちの間で人気のある女性と、男子に人気のある女性とは、タイプが異なります。当然、女の子の間で人気のある女性が、部長になったりするのでしょうが、そういう女性は、どちらかというと、可愛いタイプではなく、姐さんタイプであったりお母さんタイプであったりして、合コンなどには誘われにくいタイプだと予想されます。しかし、こういう「サークル」を全体として合コンの相手として取り込むためには、何としても、この「ヘッド」を押さえる必要があるのです。この「ヘッド」が行く気になれば、みんなまとめて着いてくるし、このヘッドが「NO」と言ったら、だれもそれに逆らえないのです。以前、魚の群れにはリーダーがいて、その合図に従って群れは整然と泳いでいると聞いたことがありますが、その時は、そのことを思い出しました。

 

(教訓2) とにかくヘッドを押さえる

 

そこで、この仮説に従って、「切り出し方」に修正を加え、必ず「部長さんいますか」と部長を呼び出して、その部長に合コンの話を持ちかけ、まず部長を落とすようにしたところ、まったく断られなくなったのでした。

 

また、こんな失敗もありました。

 

こんなふうに「部長を落とす作戦」で、次々に合コンの話をまとめていた時でした。ある女子大で、調子に乗って、2つのサークルと合コンの話をまとめました。ところが、その後になって、双方の部長さんから「お断り」の電話が入ったのです。それは、お互いに、もう1つのサークルとも合コンの話がまとまっていたことが明らかになったからでした。おそらく、双方の部長とも、こちらのそういう態度に気分を害したのでしょう。完全な失敗でした。

 

(教訓3) 一校一サークルの原則

 

以来、どんな学校とでも、合コンの約束は一箇所だけにとどめるべきであることを学んだのでした。

 

芋づる理論の挫折 (4.4.4)

 

以上見たように、何であれ、問題があれば立ち止まり、考え、仮説を立て、実践し、そしてその結果を評価し、成果が得られなければ再考し、仮説を修正し、そして再度実践する……という手順を踏んでいくならば、いずれは「必殺技」にたどり着くことができます。

 

そして私は、この方法を、司法試験の勉強にも、合コンにも役立ててきました。

 

ですが、もちろん成功例だけではありません。痛恨といえるほどの失敗も中にはあります。「芋づる理論」がその例です。

 

「合コン相手獲得法」の開発により、頻繁に合コンが出来るようになり、知り合う機会が飛躍的に増えた私でしたが、どうしても、これぞという女性に巡り会うことはできませんでした。そんな中、そういう女性に巡り会うための一つの仮説を思い付きました。それが「芋づる理論」です。

 

どういうものかと言うと、ある女の子に

 

「こんど、一緒に食事をしようよ。その時、僕も友だちを連れてくるから、君もだれが友だちを連れてきてよ。できれば、可愛い子を連れてきて」

 

と話すのです。そして、こうしてその子が可愛い友だちを連れてきたら、今度は、その子に向かって、同じように「だれか君の友だちで可愛い子を連れてきて」と誘うのです。こういうことを繰り返していけば、芋づる式に――つまり、芋づるを引っぱりながらどんどん芋を掘り当てていくことができるように――究極的に可愛い女の子に到達することができるのではないか、というのがこの理論です。

 

そして、実践してみました。

 

この「可愛い子を連れてきて」というのを繰り返して、おそらく、2度目か、3度目のころだったと思います。いまでも思い出したくない現実が訪れたのでした。考えてみれば、当たり前ですよね。少し考えれば判りそうなものです。

 

その後、この理論のどこが間違っていたのかを検証してみました。

 

思うに、女の子というのは、だれかを連れて行く時には、必ず「自分の引き立て役」になる女の子を誘うものなのです。そこで「だれか可愛い子を連れてきて」なんて言っても、自分よりも可愛い子など、まず連れてきません。必ず、自分が考えて「自分の引き立て役になる」と思える知り合いを連れてくるのです。こちらの「要求」など関係ありません。

 

例外は、その女の子自身が、現在、とっても幸せな場合です。その場合には、自分より可愛い友だちにどんな彼氏ができようと関係ないので、大盤振る舞いで可愛い女の子を紹介してくれますが、しかし、それ以外はありません。

 

(教訓4) 女の子は自分の引き立て役になる女の子しか連れて来ない

 

それが、ここで、私が学んだ結論でした。

 

さすがに、この「芋づる理論」については、即座に捨て去りました。

 

そしてその日、私に連れて行かれた不幸な友だちに向かって、私は、平謝りしたのでした。


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